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農林水産業システムの名称:福州のジャスミン・茶栽培システム
Jasmine and Tea Culture System of Fuzhou City
福州茉莉花与茶文化系统
地域:中国福建省福州市
認定日:2014年4月29日
中国文化に根付くジャスミン茶
世界にジャスミンの花は300種類以上あると言われています。ジャスミンの花の香りを茶葉に吸着させたのがジャスミン茶です。茉莉花茶とも呼ばれています。
歴史書によると、約2千年以上前の西漢時代にジャスミンの栽培が始まり、唐代(618-907)には、福州は主要茶産地の一つになっていました。ジャスミン茶は、清代1800年代中頃から、大規模に作られるようになりました。
緑茶へのジャスミン茶の香り付けは、高度な技術を必要とします。中国において、ジャスミンは単なる花だけではなく、永遠の愛の象徴であり、仏教では聖なる花とされています。また、お茶は昔から解毒剤として認識されてきました。
ジャスミン茶が支える生物多様性と環境保全
福州市では都市化と工業化が進んだ結果、1990年代後半から2000年代初めにかけ、ジャスミンの花の栽培地が減少したことで、生物多様性が危ぶまれる状況になりました。ジャスミンの花は中国だけでも60種類あり、福州市には固有のジャスミンが生育しています。ジャスミンの栽培にはきれいな水が必要です。福州では、主に湿地帯や川辺にジャスミンが栽培されています。ジャスミンが栽培されている湿地帯には固有種など多種多様な生物が生息しており、動物や渡り鳥などの自然の餌場になっています。
ジャスミンが川辺に生育することによって、大雨の時など大量の雨水が川に流入するのを防いでいます。また、茶畑は山の斜面にあり、お茶の木が栽培されていることで土壌の浸食や山崩れを防いでいます。
人々の生計を支えるジャスミン茶栽培
この地域では、お茶、マッシュルーム、牛乳、生肉などを生産しており、ジャスミン茶の生産は主要産業の一つで、地域経済に貢献しています。
中国の歴史文化十大名街に選ばれた福州市の三坊七巷は、古い街並みが残っています。おしゃれなカフェ、レストラン、茶館、土産屋があります。最美是初美というティーショップには福州茉莉花茶文化館があり、昔の茉莉花茶の製茶器具などを展示しています。
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お茶関連施設:福州茉莉花茶文化館、福州市烏龍江湿地公園、春倫茶業生態茶園
参照:
The Food and Agriculture Organization (FAO), GIAHS Globally Important Agricultural Heritage System
http://www.fao.org/giahs/en/
FAO, GIAHS Globally Important Agricultural Heritage System, Jasmine and Tea Culture System of Fuzhou City
http://www.fao.org/giahs/giahsaroundtheworld/designated-sites/asia-and-the-pacific/fuzhou-jasmine-and-tea-culture-system/en/
FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan
http://www.fao.org/japan/en/
GIAHSとは?
http://www.fao.org/japan/portal-sites/giahs/en/
農林水産省HP、世界農業遺産 Globally Important Agricultural Heritage Systems (GHIAS)
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1_1.html
工藤佳治主編者(2007) 中国茶事典(初版) 勉誠出版
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