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旅 TRIPS
シントムティーエステート & リゾート (インド ダージリン)
CHAMART
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世界三大紅茶の一つ「ダージリン」
ダージリンはインドの北東部の西ベンガル州ヒマラヤ山脈の麓に位置し、ネパールとブータンに挟まれています。ダージリンはイギリス植民地時代に避暑地として開発されました。平地がほとんどないダージリンは標高300〜2,200メートルの急斜面に茶園が広がっています。
ダージリンは、中国の祁門(キーモン)、スリランカのウバに並ぶ世界三大紅茶の産地の一つです。上質なダージリンの紅茶は、「紅茶のシャンパン」と呼ばれ果実のような甘い香りがします。
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どこまでも続くお茶の木が植えられた山々 (2019年8月)
ダージリンで二番目に古いティーエステート
シントムティーエステートは、ダージリンで二番目に古いティーエステートです。1854年にドイツ人司祭がこのティーエステートを設立しました。
現在、インドのChirimar家が所有者となりシントムティーエステート & リゾートとして、製茶・販売業と観光業を行っています。ここでは、宿泊だけでなく、製茶工場・茶園見学、ティーテイスティング、茶園でのピクニックなどのお茶体験もできます。
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シントムティーエステート & リゾート (2019年8月)
母家の前には芝生の庭が広がっており、庭でのんびりお茶を飲みながらくつろげます。
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シントムティーエステート& リゾート (2018年8月)
母家は平屋ですがとても広く、リビングルーム、ダイニングルーム、ゲストルーム4室、バルコニーがあります。
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リビングルーム (2018年8月)
ゲストルーム
ゲストルームはどれも広々としており、使い込んだ木製の床と家具がティーエステートの歴史を感じさせます。それぞれの部屋の調度品が違うため、部屋の雰囲気も異なります。
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バルコニー付きプリンススイート (2018年8月)
お茶のサービス
シントムティーエステート & リゾート滞在中は、一部の除きメニューにあるほとんどのお茶を追加料金なしで飲むことができます。ダージリン以外の産地のお茶、紅茶、緑茶、白茶などインドのお茶を堪能できます。
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シントムティーエステート & リゾート (2019年8月)
お茶体験
宿泊料とは別料金を支払うことで、さまざまなお茶体験ができます。
ティーテイスティング
ティーテイスティングでは、9種類の茶葉を3分と5分抽出し、飲み比べをしました。マネージャーのGuatumさんが講師として、テイスティングの仕方を教えてくれました。
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ティーテイスティング(2019年8月)
紅茶工場見学
ティーテイスティング同様、マネージャーのGuatumさんが紅茶工場を案内してくれました。工場での製茶作業は午前中でほぼ完了します。筆者は午後遅くに工場見学をしたため、実際に製茶機械が稼働しているところを見学することはできませんでした。
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SINGTOM STEINTHAL TEA FACTORY
摘み取った茶葉を萎らせる萎凋工程 (2018年8月)
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SINGTOM STEINTHAL TEA FACTORY
その日の生産量を記載するボード (2018年8月)
お茶摘み体験と見学
筆者は茶園を見学しました。広大な茶園では、朝早くから女性たちがお茶摘みをしていました。
山の急斜面にお茶の木が植えられており、慣れてないと歩くだけでも一苦労です。しかし、お茶摘みの女性たちは茶葉で重くなったカゴ紐を頭で支えながら日よけの傘をさし、こともなげにお茶摘みをしていました。
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お茶摘み (2019年8月)
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茶畑の草刈り (2019年8月)
ティーエスエステート
ティーエスエステートは、イギリス植民地時代に始まった茶園労働者とその家族を茶園内や周辺に住まわせ、学校や診療所などを設け生活全般の面倒をみる大規模農園のことです。
現在は自宅から通勤する茶園労働者もいますが、労働者の多くは園主が提供する住居に家族単位で住んでいます。女性は主にお茶摘み、男性は茶園の草刈りや製茶工場での仕事をしています。
茶園と工場の周辺に労働者の住居と薬局がありました。
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茶園労働者のための薬局と住居(2019年8月)
食事
シントムティーエステート & リゾート滞在中は、依頼すれば食事を用意してもらえます。朝食チャパティーやトースト、果物、紅茶、夕食はカレーなどでした。
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シントムティーエステート 朝食 (2019年8月)
ヒマラヤの名峰カンチェンジュンガ
シントムティーエステート & リゾートの周囲には茶畑があり、早朝の散歩はとても気持ちが良いです。シントムティーエステート & リゾートは高地にあるため、眼下に雲と茶畑が広がっています。
天気が良く雲がなければ、ヒマラヤの名峰カンチェンジュンガを見ることができます。
筆者がダージリンを訪問したのは雨季の8月でしたが、早朝シントムティーエステート & リゾート周辺を散策中に、運よくカンチェンジュンガを見ることができました。しかし、それは一瞬で、神々しいヒマラヤの山々は雲の向こうに姿を消しました。
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ヒマラヤの名峰カンチェンジュンガと茶畑(2018年8月)
ダージリンへの行き方
ニューデリーやコルカタなどインドの主要都市から国内線でバグドグラ空港へ行き、バグドグラから車でダージリンまで行きます。
バグドグラからダージリンまでは乗合ジープが出ており、所要時間は約3〜4時間です。
シントムティーエステート& リゾートでは、バグドグラからダージリン間の車での送迎サービスを提供しています。
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コルカタ空港からバグドグラ行きのプロペラ機 (2019年8月)
ホテル名:シントムティーエステート & リゾート
Singtom Tea Estate & Resort
住所:インド ダージリン
ホテルサイト:https://www.singtomteaestate.com/
空港からホテル間の車による送迎サービスあり。
本記事は2019年8月訪問時の情報を中心に執筆しています。料金、車でのアクセスなどその他の情報、最新情報等は、シントムティーエステート & リゾートのサイトでご確認下さい。
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ダージリンの街
ダージリン中心部は平地が少なく、山の斜面にへばりつくように建物が建っています。
雨季には頻繁に霧が発生し、霧が出ると雲の中にいるようです。
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遠方から眺めるダージリン中心部 (2019年8月)
ネパールとブータンに挟まれるダージリンは、多民族が住む異文化が融合した場所です。
イギリス植民地時代に茶園の安い労働力が必要となり、多くのネパール人がダージリンに移住させられました。また、中国チベット自治区から亡命してきたチベット系住民もいます。
そうしたことから、ダージリンでは、ネパール料理やチベット料理のレストランも多く、チベット料理のレストランではバター茶を飲むことができます。
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チベットの蒸し餃子モモとバター茶 (2019年8月)
ダージリンには仏教系の寺院が多く観光名所になっています。平和祈願のために建設された日本寺院もあります。
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ダリ修道院 (2018年8月)
チベット難民センター Tibetan Refugee Self-Help Center
中国から亡命したチベット難民の自立支援のために、1959年にダージリンにチベット難民センターが設立されました。ここでは、絨毯や毛糸の小物、工芸品などを作り販売しています。
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チベット難民センター 絨毯工房 (2018年8月)
トイトレイン
19世紀後半からダージリンで紅茶が作られるようになり、紅茶と避暑客を運ぶために鉄道が建設されました。この鉄道は一般の鉄道よりもサイズが小さいことからトイトレインと呼ばれています。
このダージリン・ヒマラヤ鉄道は世界遺産に認定されています。
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紅茶と避暑客を運ぶために作られたトイトレイン
参照:
Tibetan Refugee Self-Help Centre https://tibetancentredarjeeling.com/