Globally Important Agricultural Heritage Systems (GIAHS) related to tea お茶に関する世界農業遺産

MENU
農林水産業システムの名称:
花開村における河東地方の伝統的茶栽培
Traditional Hadong Tea Agrosystem in Hwagae-myeon
地域:韓国河東郡花開村
認定年度:2017年11月28日
厳しい自然環境と調和する茶業
828年に中国の唐(中国)から韓国の使臣が茶の実を持ち帰り、王みずからが、お茶の実を河東郡花開村の双渓寺に植えたと伝えられています。そのため、河東郡花開村は韓国のお茶の発祥の地とされています。
河東郡花開村では、人々が1200年かけて、山岳地域の不毛な土地に適応した茶農業を営んできました。その結果、先祖代々伝わる伝統的な農業と独自の文化が継承されています。
韓国茶の発祥の地の石碑(2019年2月)
花開村は平地が少なく、土地の9割を急斜面の山々が占めています。南北に川が流れ、台風の季節にはしばしば洪水が起こり、安定した農業には適さない土地でした。そのため、地域の人々は稲作の他、川べりや山の斜面の岩間にお茶を栽培し生計を立ててきました。
河東郡花開、河東茶の茶畑 (2019年2月)
農業生物多様性
花開村の川や智異山地域一帯は、固有の多様な動植物が生息できる自然豊かな空間です。
約1200年間、お茶の木は昆虫や風といった自然の力により受粉をし増え続けてきました。その結果、お茶の木は地域の環境に適応し、それぞれの茶畑ごとに遺伝的多様性を高めていきました。
伝統的な茶農業
花開村では、この地域の環境を生かした伝統的な方法でお茶を栽培しています。人による管理は、更新(gaengsin 갱신)と除草作業のみで最低限に抑えています。
更新とはお茶の木の剪定作業のことで、この作業を行うことで茶葉の収量と品質を向上させます。
また、茶畑周辺の草を手で刈り、お茶の木の根元や畝間に敷きます。これは、Pulbibae 풀비배と呼ばれ昔から行われていて、草堆肥を意味します。草だけでなく、乾燥させた森林の木の枝や葉を使うこともあります。
更新作業により刈り取られたお茶の木の枝や葉、草、森林の木の枝や葉は、時間をかけ堆肥になり、茶畑の土壌の酸化、水分の蒸発、有機物の流出を防ぎ、お茶の木を凍霜害から守ります。
人手不足や生産量を増やすために、お茶農家によっては化学肥料を使い始めたところもあります。しかし、お茶の在来種の遺伝子や自然への影響を考え、多くの生産者は化学肥料や農薬を使わず、今なお伝統的な方法でお茶を栽培しています。
河東茶の茶畑と木の枝 (2019年2月)
河東茶は、伝統的に新芽のみを手摘みし釜炒りで作っていました。河東茶は繊細な香りと滋味が特徴です。ゆっくり味わうことで、河東茶の奥深さを知ることができます。
昔は、僧侶たちがお茶を作っていましたが、その後お茶作りは、地域の人々に引き継がれました。
双渓寺の大きな急須 (2019年2月)
釜炒り製の河東茶 (2019年2月)
河東野生茶博物館
河東茶博物館では河東茶の歴史が学べ、釜炒り茶作りを体験できる施設もあります(体験は事前申し込みが必要)。またミュージアムショップでは、河東茶や河東茶を使った製品を販売しています。
河東野生茶博物館(2019年2月)
河東野生茶博物館 世界農業遺産の認定証(2019年2月)
河東茶を使った商品と食事
河東のバス停のすぐ近くには、河東茶を使った料理がいただけるレストラン「Tea food」があります。ランチは、河東茶から始まり、お茶の花の蜂蜜、茶の実油、そしてたくさんの種類の副菜、河東茶の茶油などを使ったメインディッシュが出てきます。このランチはまるで河東茶の物語のようです。
コーヒーのように茶の実を焙煎し粉末にしたものなど、河東茶を使った製品も販売されています。こうした商品は、地域の人々の手作業による少量生産のため、Tea foodのみでしか購入できません。
Tea food 河東茶の茶の実を焙煎し粉末にした飲み物(2019年2月)
サイト内関連記事「世界のお茶 韓国」「お茶の種類 釜炒り茶(韓国)」「河東野生茶博物館」
お茶関連施設:河東茶博物館 (Hadong Tea Museum)、双渓寺、Tea food
#世界農業遺産 #河東野生茶博物館 #河東茶 #河東 #花開 #GIAHS #FAO
参照:
The Food and Agriculture Organization (FAO), GIAHS Globally Important Agricultural Heritage System
http://www.fao.org/giahs/en/
FAO, GIAHS Globally Important Agricultural Heritage System, Traditional Hadong Tea Agrosystem, Hwagae-myeon
https://www.fao.org/giahs/giahsaroundtheworld/designated-sites/asia-and-the-pacific/traditional-hadong-tea-agrosystem-in-hwagae-myeon/en/
FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan
http://www.fao.org/japan/en/
GIAHSとは?
http://www.fao.org/japan/portal-sites/giahs/en/
農林水産省HP、世界農業遺産 Globally Important Agricultural Heritage Systems (GHIAS)
www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1_1.html
*本記事に関して間違った情報、新しい情報、追加すべき情報などお気付きの点がありましたら、CHAMARTまでご連絡いただけると幸いです。