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九州・沖縄エリア 長崎県

産地:東彼杵(ひがしそのぎ)町、波佐見(はさみ)町、佐世保市、世知原(せちばる)町、島原市、松浦市、五島市、雲仙市、佐々町、大村市
銘柄:そのぎ茶、世知原茶、波佐見茶、島原茶、まつうら茶、五島茶、雲仙茶など
お茶の種類:玉緑茶(釜炒り製、蒸し製)、煎茶(普通蒸し、深蒸し)、芽茶、茎茶、玄米茶、ほうじ茶、紅茶など

蒸し製玉緑茶
東彼杵町をはじめ長崎県の多くの地域でお茶が栽培されており、蒸し製玉緑茶が多く作られています。玉緑茶の茶葉は、製茶工程で茶葉の形を整えないため丸みを帯びた形状をしています。

東彼杵町の茶畑(2018年8月)

以前、嬉野市近くの佐賀県境の地域で作られるお茶は、うれしの茶として市場に出荷されていましたが、現在は、そのぎ茶など地域の銘柄で販売されています。

写真左:世知原茶 写真右:大きな急須と世知原茶のオブジェ(2019年1月)

栄西禅師と冨春園
臨済宗の開祖・栄西禅師(1141-1215)は、2度宋へ渡り禅を学びました。1191年、栄西は長崎県平戸に二度目の帰国し、茶の実を持ち帰りました。栄西は帰国後の3年間、九州北部を中心に禅の普及に努めたと言われています。
栄西は平戸に座禅を組むために冨春庵を建て、裏山に宋から持ち帰ったお茶の実を植えたと伝えられています。その茶園は冨春園と呼ばれています。また、佐賀県と福岡県の境にある脊振山の霊仙寺石上坊にもお茶の実を植えたと伝えられています。
栄西がお茶の実を持ち帰る以前の7から8世紀には、すでに日本にお茶は中国から伝わっていました。しかし、栄西により全国各地でお茶の栽培が広がり、また栄西は宋の抹茶法を日本に伝え、喫茶の習慣を広めたことから、日本の茶祖と呼ばれています。1211年に栄西は、日本最初の著書とされる『喫茶養生記』を著しました。喫茶養生記には、お茶の効能、栽培方法、飲み方などが書かれています。

平戸島千光寺近くにある冨春庵跡地(2019年1月)
栄西禅師が座禅をしたと伝えられる座禅石

平戸島千光寺近くにある冨春園(2019年1月)

日本茶海外輸出の先駆者、大浦慶
長崎市の油問屋に生まれた大浦慶(1828-84)は日本茶輸出貿易の先駆者です。1853年にオランダ人・テキストルに嬉野茶の見本を託し、イギリス、アメリカ、アラビアへのお茶の輸出を試みました。これがきっかけとなり、幕末から明治にかけ、慶は九州のお茶を海外に輸出するようになります。
晩年、慶は詐欺事件に巻き込まれ茶商貿易で得た富を失いました。1884(明治17年)、明治政府が大浦慶にお茶の輸出の功績賞を贈った1週間後に、大浦慶は人生を終えました。

長崎いけどきプロジェクト
東彼杵町では、日本茶を海外に広めようと精力的に活動する松本靖治氏がリーダーとなり、外国人旅行者を対象に英語によるお茶体験プログラムを実施しています。長崎とお茶の歴史を学ぶプレゼンテーションに始まり、茶畑・茶工場のガイドツアー、さらには古民家で玉緑茶など地元のお茶を楽しむことができます。
休憩やお茶の時間のことを、地元の言葉で「いけどき」と言います。お茶を飲む時間があるのは平和だからこそ。茶産地・東彼杵町からお茶と平和をテーマに「Spread a peaceful world with Japanese tea」のメッセージを発信しています。

写真提供:長崎いけどきプロジェクト https://ikedokitea.com
外国人向けモニターツアー(2021年11月)

波佐見焼
波佐見町の波佐見焼は、お手頃な価格でカラフルでポップな柄の急須やマグカップなどがたくさんあります。

波佐見町陶芸の館くらわん館 (2019年1月)

サイト内関連記事「日本のお茶の生産状況」「お茶の種類 蒸し製玉緑茶」「旅 長崎いけどきプロジェクト

お茶関連施設:
冨春園、冨春庵跡
くらわん館 http://kurawankashop.sakura.ne.jp

お茶のゆるキャラ:茶子ちゃん(東彼杵町)

焼き物:波佐見焼、三川内(みかうち)焼

参照:
松下智 (平成3年) 日本名茶紀行 (初版) 雄山閣出版
高野實・谷本陽蔵・富田勲・中川致之・岩浅潔・寺本益英・山田新市 (2005) 緑茶の事典 (改訂3版) 柴田書店
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
長崎県 https://www.pref.nagasaki.jp
ながさきの地産地消〜こだわりおかわり長崎産〜長崎県産茶の紹介
https://www.pref.nagasaki.jp/tisan/otya/
朝日まかて(2019) グッドバイ 第一刷 朝日出版社
長崎いけどきプロジェクト https://ikedokitea.com

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