MENU
緑茶
日本
玉露(日本)
お茶は、緑茶、白茶、黄茶、青茶(烏龍茶)、紅茶、黒茶の6つに分類されます。本サイトでは、CHAMARTが出会ったさまざまなお茶を紹介しています。
緑茶
不発酵茶
玉露
玉露茶園は、新葉の摘み取り前の約3週間、寒冷紗と呼ばれる黒色の被覆材、葦(よし)で編んだよしずや、稲わらで編んだこもや、すまきで茶園全体を覆います。茶園を被覆材で覆い日光を遮断することで、茶葉の苦味成分であるカテキン類の増加が抑えられ、うま味成分のアミノ酸が多くなります。玉露は手摘みしたやわらかい新葉のみを使い製茶します。
産地:日本三大玉露の産地は「京都宇治、福岡八女、静岡岡部」、他
風味・香りなど:うま味が強く磯や青海苔に似た香り。この香りは、茶園全体を被覆することで生まれる「覆い香」と呼ばれる玉露特有の香りです。
淹れ方・飲み方:お湯を入れた湯呑みを手に持った場合、温かいと感じるぐらいまでにお湯の温度を下げます。そして、湯冷しした低温のお湯で、急須などを用いてゆっくりお茶を淹れます。
同じ温度のお湯でも、湯呑みによって感じる熱さは違いますが、目安として、お湯の温度が約60〜70度だと、熱くてもかろうじて湯呑みを持つことができます。約50度のお湯は、湯呑みを持っても熱すぎることはなく、温かいと感じます(個人的な感覚です)。
歴史:宇治で16世紀末・安土桃山時代に茶園を被覆する覆下栽培が始まり、江戸時代に玉露の製法が考案されました。
玉露の製法の考案者について書かれた確実な資料は見つかっておらず、いくつか説があります。その一つは、江戸時代天保6年(1835)に、江戸日本橋の茶商山本嘉兵衛が考案したという説です。
山本嘉兵衛が山城の小倉村(現在の宇治市小倉町)の製茶場を見学した際、抹茶用の柔らかい茶葉をほい炉で乾燥する時に、小さな団子状にしてしまい、それを「玉の露」と名付け、得意客に配り、好評を得たため、それが玉露になったと伝えられています。
すまき・こも:稲わらで編んだむしろです(稲わらのマット)。静岡県ではこもと呼び、福岡県ではすまきと呼ぶなど地域により呼称が違います。
日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」ほんず茶園
宇治では、玉露や碾茶の茶園を、琵琶湖などで採れた葦(よし)で編んだよしずで被覆します。よしずで覆った茶園は本葦(ほんず)茶園と呼ばれ、「日本茶800年の歴史散歩」として日本遺産に認定されています。
八女伝統本玉露と地理的表示(GI)保護制度
八女伝統本玉露は地理的表示(GI)保護制度に登録されています。この制度は、伝統的な生産方法や気候・風土など生産地の特性が製品の特性と結びついている場合、知的財産として保護する制度です。
八女伝統本玉露は、お茶の木を自然の形で育て、茶葉を摘み取る前に、稲わらで編んだすまきで茶園全体を覆います。そして徐々に茶園の遮光率を最終的には90から98%にするなど厳しい条件で栽培されています。
すまき:すまきは稲わらで編んだむしろです(稲わらのマット)。こもと呼ぶ地域もあります。
CHAMARTのおすすめの飲み方:
冷蔵庫で一晩かけて氷や冷水で玉露を淹れると、うま味が強く甘味が出ます。茶殻はサラダに使います。
静岡県藤枝市朝比奈地区宮崎園の玉露茶園のこもかけ作業(2020年4、5月)
参照:
松下智 (平成3年) 日本名茶紀行 (初版) 雄山閣出版
橋本素子著(平成28年) 日本茶の歴史 (茶道教養講座) (初版) 淡交社
高野實、谷本陽蔵、富田勲、中川致之、岩浅潔、寺元益英、山田新市 執筆 (社)日本茶業中央会監修 (2005) 緑茶の事典 改定3版 柴田書店
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 (初版) 朝倉書店
日本茶業学会茶の科学用語事典(第3版)編集委員会(2021) 茶の科学用語事典(第3版) 日本茶業学会 大日三協
日本遺産ポータルサイト
日本茶800年の歴史散歩
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/index.html
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story009/
農林水産省 地理的表示(GI)保護制度
https://www.maff.go.jp
*本サイトでは、CHAMARTが実際に飲んだお茶を紹介しています。各記事は、執筆者の個人的な経験や感じたことなども表現されており、記事内のお茶の全てを表すものではありません。