MENU

南アジア

本記事のカブールの喫茶事情は、国際協力NGOのJENの元職員がアフガニスタンで働いていた時のお話を聞きCHAMARTが執筆しました。本記事の写真はJENと元職員からご提供いただきました。

緑茶に砂糖
アフガニスタンではお茶はチャイと呼ばれ、緑茶や紅茶が飲まれています。
緑茶に砂糖を入れ、またカルダモンなどのスパイスを入れることもあります。アフガニスタンで飲まれている緑茶は、中国などから輸入しています。注1
首都カブールでは紅茶がよく飲まれています。地元の人たちは、お茶にはミルクを入れることはあまりありません。

パルワン州 昼食後のティータイム(2006年)

ティーポットややかんに茶葉とお湯を淹れ、茶こしを使ってガラスコップにお茶を注ぎます。アフガニスタンでは、家でも職場でも来客があればまずチャイでもてなします。
カブールにある政府機関や大きな会社などでは、電気ポットでミネラルウォーターを沸かし、あっという間にチャイを淹れることができます。しかし、貧困地域や地方の農村部ではお茶を淹れること自体が一苦労です。

カブール お茶を飲みながら会議(2005年)

貧困地域や農村部では一般家庭に水道は通っておらず、井戸へ水を汲みに行きます。家のすぐそばに井戸があるわけではなく、場所によっては急峻な崖のような坂道を下り、片道歩いて20分かかることもあります。井戸への水汲みは、たいてい女性か子どもたちの役割で重労働です。
アフガニスタンでは甘いお茶が好まれますが、経済的に厳しい状況にある人たちにとって砂糖は高価が買えない場合もあります。しかし、客人があれば、砂糖はないけれど温かいお茶で精一杯もてなします。

カブール郊外 井戸で水を汲み家に帰る男児(2007年)

アフガニスタン・イスラム共和国
Islamic Republic of Afghanistan
アフガニスタンはイギリスから独立しました。その後、ソ連の軍事介入、内戦、そしてイスラム主義勢力タリバンによる統治など、政情は常に不安定です。アフガニスタン政府(当時タリバン政権)が、2001年9月に起きたアメリカ同時多発テロ事件の首謀者の引き渡しを拒否したことで、米英軍はアフガニスタンに軍事攻撃を行い、タリバン政権は崩壊しました。その後、民主主義国家を目指し、20年間アメリカ軍を中心とする国際部隊がアフガニスタンに駐留しました。2021年8月末に国際部隊はアフガニスタンから完全撤退し、再びタリバンが政権を掌握しました。現在、アフガニスタンは物価高騰、現金不足、失業などにより食料不安に陥っています。

国際協力NGO JEN https://www.jen-npo.org
JENは1994年に設立され、平和な国際社会を目指し世界各地で紛争や自然災害により厳しい状況にある人びとへ「生きる力、を支えていく」をモットーに、緊急から復興の各段階できめ細やかな支援活動を行っています。
JENは2001年からアフガニスタンで緊急人道支援、学校再建、水道衛生環境の改善事業などさまざまな支援活動を行ってきました。現在も、最も厳しい状況に置かれた人びとに対し、現地のニーズに沿った支援活動を行っています。

写真提供:JEN https://www.jen-npo.org
JENのアフガニスタンでの支援 井戸の完成に喜ぶ子どもたち

サイト内関連記事「世界のお茶の生産状況」「一人当たりのお茶の消費量」「茶リティー 国際協力NGO JEN

注1:
The Food and Agriculture Organization of the United Nations
http://www.fao.org/home/en/
FAOSTAT
http://www.fao.org/faostat/en/#home
Detailed trade matrix Export tea to Afgahnistan 2017-2019

参照:
磯淵猛著(2008) 紅茶の教科書 初版 新星出版社
EMBASSY OF AFGHANISTAN-TOKYO
http://www.afghanembassyjp.org/jp/
茶の栽培が復活
http://www.afghanembassyjp.org/jp/news/?an=1668
Tea Cultivation Returns
http://www.afghanembassyjp.org/en/news/?an=1668
日本国外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
アフガニスタン・イスラム共和国
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/afghanistan/data.html#section1
国際協力NGO JEN https://www.jen-npo.org

The Food and Agriculture Organization of the United Nations
www.fao.org/home/en/
INTERGOVERNMENTAL GROUP ON TEA
TWENTY-THIRD SESSION
Hangzhou, the People’s Republic of China, 17-20 May 2018
EMERGING TRENDS IN TEA CONSUMPTION: INFORMING A GENERIC PROMOTION PROCESS
III. UNTAPPED OPPORTUNITIES IN TEA MARKETS AT INDIVIDUAL AND GLOBAL LEVELS
Fig. 6: Top per capita tea consuming countries in 2016
http://www.fao.org/3/MW522EN/mw522en.pdf

*本記事でご紹介した情報が、変わっている場合があります。本記事に関して間違った情報、新しい情報、追加すべき情報などお気付きの点がありましたら、CHAMARTまでご連絡いただけると幸いです。
*当サイトのコンテンツは、「日本のお茶」と「世界のお茶」の全てについて記載しているわけではありません。また、各記事は、執筆者の個人的な経験や感じたことが表現されています。