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中東・中央アジア

本記事の執筆・写真提供:チャイ専門店 茶窓 木下純平

日常生活に欠かせないチャイ
ウズベキスタン共和国とキルギス共和国は、シルクロード上にある中央アジアの国々です。両国とも旧ソビエト連邦の構成国でしたが、1981年に旧ソビエト連邦が崩壊し独立しました。
ウズベキスタンやキルギスではお茶のことを「チャイ」と呼び、人々が集まる場に欠かせない飲み物となっています。町にはチャイハナ(Chaikhana)というチャイを飲むことができる伝統的な喫茶店がたくさんあります。また食堂でも席につくとまずチャイが出されるほど、チャイは日常的な飲み物です。

ウズベキスタン、タシケントの食堂、カウンターに並ぶティーカップ(2016年4月)
写真提供:チャイ専門店 茶窓 https://www.chasou.com

人々の集う場所「チャイハナ」
中央アジアでは、チャイハナは人々の憩いの場所です。人々はチャイハナでチャイを飲みながら談笑し、トランプなどのゲームに興じて長い時間を過ごします。
チャイハナは地元の男性たちが集まる社交の場となっていて旅行者には入りにくい雰囲気ですが、入ってみると地元の人々が優しく好奇心を持って話しかけてくれます。
お店に入るとまず「タプチャン(Tapchan)」と呼ばれる絨毯の敷いてある低めの台に通されます。そこに靴を脱いであがり、胡坐をかいて座っていると、ポットに入ったお茶が運ばれてきます。このような台に上がってチャイを飲むスタイルは中央アジアの国々でよく見かけることができます。

キルギスビシュケクのチャイハナ(2016年5月)
写真提供:チャイ専門店 茶窓 https://www.chasou.com

お茶の種類と淹れ方、茶器
ウズベキスタンとキルギスは中国などからお茶を輸入しています。(注1)
チャイハナや食堂で出されるチャイは主に半発酵のお茶で水色は紅色です。お茶に砂糖やミルクは入れません。
チャイを頼むと、お茶の入ったポットと取手のない大きめの茶碗がテーブルに置かれます。
自分でチャイを注いで飲み、お茶がなくなりポットの蓋を外しておくと、お店の人がお湯を足してくれます。
ウズベキスタンのタシケントでは、紅茶やポットにレモンを入れて出してくれるお店もありました。

ウズベキスタンタシケントの食堂(2009年12月)
写真提供:チャイ専門店 茶窓 https://www.chasou.com

シルクロードの歴史とともにある喫茶文化
中央アジアにおけるお茶を飲む習慣は、茶馬交易によって中国から伝わったものと考えられます。現在でも陶器のティーポットや取手のない茶碗を使い、お茶に砂糖を加えず飲むという中国風の喫茶を、チャイハナなど人々の生活の中で見ることができます。

記事執筆・写真提供:チャイ専門店 茶窓 木下純平 https://www.chasou.com
本記事の現地の喫茶事情は筆者(茶窓)の2009年12月21日~30日、2016年4月29日~5月8日における調査に基づきます。

サイト内関連記事「世界のお茶の生産状況」「2016年一人当たりのお茶の消費量

参照:
松崎芳郎編著『茶の世界史』初版第一版八坂書房 2012

注1:CHAMARTがFOASTATのデータを使い2000から2018年のウズベキスタン共和国とキルギス共和国のお茶の輸入相手国を調査
The Food and Agriculture Organization of the United Nations
http://www.fao.org/home/en/
FAOSTAT http://www.fao.org/faostat/en  Tea
Tea (Item) Detailed trade matrix (Trade)
http://www.fao.org/faostat/en/#search/tea

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