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東アジア

スーティーツァイ Suutei tsai(モンゴルミルクティー)
モンゴルと中国内蒙古自治区では、塩味のミルクティーが飲まれています。モンゴル語ではスーティーツァイと言い、中国では蒙古奶茶(モングーナイチャー Meng gu nai cha)と言います。
チベットのバター茶と同じように、蒸した茶葉を型に入れて固めて干した磚茶(たんちゃ)を使います。磚茶をナイフなどで削り必要な茶葉を用意します。茶葉を湯で煮立て、羊、ヤギ、牛、馬、らくだなどの家畜のミルクと塩を入れます。バター茶と違い、スーティーツァイは煎り粟、肉、乾燥チーズなどを入れてスープのように飲むこともあります。

中国内蒙古自治区 モンゴル族のミルクティー (1987年5月)

モンゴルの乾燥地帯ではビタミンが含まれる野菜や果物の栽培が難しいため、お茶からビタミンを摂取します。バター入りのお茶は表面に油膜が貼ることで熱いお茶が冷めにくくなります。そのため、特に夜間や冬場の寒さの厳しいモンゴルではスーティーツァイは欠かせない飲み物です。

中国内蒙古自治区 遊牧民の親子 (1987年5月)

神に捧げるスーティーツァイ
モンゴルではお茶ができると、まず神に捧げます。ひしゃくや指でお茶の液体を天に向けて空中に撒きます。神に感謝してから、人々はお茶を飲みます。

モンゴル 写真提供:松下智

筆者(CHAMART)は、1987年に中国内蒙古自治区を旅行し、遊牧民の移動式住居ゲル(中国語では包Bao)に宿泊しました。到着して最初に出されたのが茶碗に注がれたスーテーツァイと硬い揚げ菓子です。ゲルのご主人が指でスーティーツァイを数滴弾くようにして大地に撒き、神に感謝を捧げていました。
硬い揚げ菓子はスーティーツァイに浸して食べました。筆者にとってミルクティーは甘いと思っていたので、初めて飲んだ塩味のスーティーツァイに多少戸惑いました。しかし、気が付くと何杯も塩味のスーティーツァイを飲んでいました。

中国内蒙古自治区 モンゴルの移動式住居ゲル 中国語では包(Bao)と呼ぶ (1987年5月)

本記事の現地のお茶事情は、筆者(CHAMART)が中国内蒙古自治区を訪問した時の体験に基づきます。上から3枚目の写真は松下智氏にご提供いただきました。

サイトCHAMART内記事「世界のお茶の生産状況」「2016年一人当たりのお茶の消費量

参照:大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店

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*当サイトのコンテンツは、「日本のお茶」と「世界のお茶」の全てについて記載しているわけではありません。また、各記事は、執筆者の個人的な経験や感じたことが表現されています。