MENU
茶産地:ソチ
お茶の種類:紅茶、緑茶など
清からロシアへ渡ったお茶
1689年にロシアは中国の清との間で国境を定めるためにネルチンクス条約 (Treaty of Nerchinsk)を結んだことで、清からお茶が入ってくるようになりました。1880年にシベリア鉄道が開通するまでは、お茶をラクダに乗せたキャラバン隊がゴビ砂漠とシベリアを通り1年以上かけて清からロシアまで運んでいました。
ロシアで栽培されるお茶
黒海に面するクラスノダール地方のソチでは19世紀後半からお茶の栽培の試みが始まりました。冬の厳しい気候、戦争、旧ソ連の崩壊などの影響で、茶業が衰退した時期もありました。
ソチにあるマツェスタ茶園は2006年に製茶工場を建設し、その後、静岡県の製茶機械メーカーの緑茶プラントが導入され緑茶も作られるようになりました。
マツェスタ茶園は総面積は170ヘクタールあり、観光茶園になっており、茶畑や製茶工場の見学ができ、多くの観光客が訪れています。
ロシアンティー
紅茶を飲む時はいちごやベリーなどのジャムが欠かせません。スプーンにジャムをすくって舐めながら飲んだり、紅茶に入れて飲んだりします。
サモワール Samovar
ロシアでは、サモワールと呼ばれる二段式の保温機能を持つお茶専用の湯沸器で紅茶を淹れます。サモワールは、通常高さ50センチぐらいの卵型のタンクがあり、タンクの中には筒状の空洞があり、その中に炭や石炭を入れタンクの中でお湯を沸かします。このタンクの上に、紅茶を入れたティーポットを置き、タンクの蒸気で保温します。タンクには蛇口がありお湯が出ます。ティーポットの紅茶が濃い場合は、蛇口からお湯を足して薄めます。シンプルなものもありますが、サモワールには美しい装飾が施されています。現在は使われているサモワール の多くが電気製です。
サモワールはロシアだけでなくトルコ、イラン、アフガニスタン、スラブ諸国などでも使われています。美しい装飾をほどこしたサモワールもあります。中国の真鍮製のティーポットが原型など、サモワールの起源には諸説ありますがまだよくわかっていません。
サイト内関連記事「世界のお茶の生産状況」「2016年一人当たりのお茶の消費量」
参照:
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
ティーピッグズ, ルイーズ・チードル+ニック・キルビー著、伊藤はるみ訳(2015)世界の茶文化図鑑 原書房
荒木安正、松田昌夫著(2002) 紅茶の事典 初版 柴田書店
Helen Saberi (2010), Tea A Global History: Reaktion Books Ltd.
「世界の歴史」編集委員編(2009)もういちど読む山川世界史 1版 山川出版
袋井市茶文化資料館 https://fukuroi-tyabunkashiryokan.jp
*本記事でご紹介した情報が、変わっている場合があります。本記事に関して間違った情報、新しい情報、追加すべき情報などお気付きの点がありましたら、CHAMARTまでご連絡いただけると幸いです。
*当サイトのコンテンツは、「日本のお茶」と「世界のお茶」の全てについて記載しているわけではありません。また、各記事は、執筆者の個人的な経験や感じたことなどが表現されています。