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東アジア

茶産地:
台湾の主な茶産地は、北部茶区、桃竹苗茶区、中南部茶区、東部茶区、高山茶区の5つに分けられます。
北部茶区:台北、新北、宜蘭
坪林の文山包種茶が有名で、坪林には坪林茶業博物館があります。

坪林茶業博物館のショップ 文山包種茶 (2018年5月)

桃竹苗茶区:桃園、新竹、苗栗
新竹県では東方美人が作られています。
中南部茶区:台中、南投、雲林、嘉義、屏東
南東県の茶畑の面積は台湾全体の茶畑の約4割を占めています。南投県鹿谷の凍頂烏龍茶や日月潭の紅茶が有名です。お茶をテーマにしたおしゃれなブティックホテル嘉義桃城茶樣子があります。
東部茶区:台東、花蓮県など
花蓮では天鶴紅茶、台東では太峰高山茶などが作られています。宿泊できる観光茶園があります。
高山茶区:阿里山など標高1000メートル以上の茶区です。昼夜の寒暖差と頻繁に発生する霧が高品質のお茶を生み出します。お茶農家が経営するお茶ホテルがあります。

霧が立ち込める嘉義県阿里山の茶畑 (2018年5月)

台湾では、緑茶、烏龍茶、紅茶などいろいろなお茶が作られており、銘柄もたくさんあります。
台湾を代表するお茶
凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ Dong ding wu long cha)
南投県鹿郷の標高600〜800メートルの凍頂山の麓一帯で、作られ始め100年以上の歴史のあるお茶です。茶葉の形状は半球径状で、花の蜜のような香りがします。
文山包種茶(ぶんさんほうしゅちゃ When shan bao zhong cha) 
台北市や台北県で作られています。発酵度は約10%で青茶の中では低いです。包種茶の名前の由来は諸説ありますが、茶葉を紙に包んで販売したと言われています。茶葉は細長く黒みがかった深緑色で、蘭の香がしてすっきりした味わいです。
東方美人(とうほうびじん Dong fang mei ren)
ウンカ(ハノミドリヒメヨコバイ)という小さい虫が噛んだ茶葉で作った白毫烏龍茶で、東方美人と呼ばれます。ウンカが茶葉を噛んだことで独特の香りと味になります。発酵度が高く水色は紅茶のような色です。
木柵鐵觀音茶(もくさくてっかんのん Mu shan tie guan yin)
台北市木柵地区で作られています。中程度の発酵で、強く揉捻し茶葉は球状。焙煎による焙煎香とほのかに柑橘系の香りもします。水色はオレンジ色です。

台湾のお茶の歴史
1863年に中国の清が台湾の領有をし、その後中国福建省安渓県や武夷山周辺から人々が台湾へ移り住むようになりました。福建省の人々はお茶の実を持ち込み、台湾でお茶の栽培をはじめました。当初は自分たちの家族で飲むことを目的にお茶を作っていましたが、18世紀の終わりにはお茶の貿易を開始しました。

嘉義県阿里山の茶畑で茶摘みをする女性たち (2018年5月)
両手の人差し指にテープでカッターの刃をしっかり付け、刃でお茶の葉を刈り取る。

1865年にスコットランド商人のジョン・ドッド(John Dodd)が、台湾の農家に対し、お茶の栽培を支援し、台北に製茶工場を建設しました。そして台湾のお茶はヨーロッパやアメリカに輸出されるようになりました。

日本が台湾を統治していた1895年から1945年は紅茶の生産が盛んになりました。台湾に派遣された日本人農業技師の新井耕吉郎(1904-1946)は台湾紅茶の生産に尽力を尽くし紅茶の父と呼ばれています。
1965年頃は北アフリカ向けに緑茶が生産されていたこともありました。現在は種に包種茶や烏龍茶が生産されています。

紅茶の父、新井耕吉郎を紹介する坪林茶業博物館 (2018年5月)

茶藝
茶藝は昔からお茶に関わる芸術全般を表す言葉として使われてきており、現代ではお茶を淹れる・飲む技術という意味も含まれています。
1970年代後半頃から台湾で「茶藝」という言葉が広がり、伝統的な中国茶を提供し、伝統的な美術を鑑賞する茶藝館が全国に増えていきました。
台湾には、美しい所作でお茶を淹れる様子を見ることができる茶藝館や茶館があります。

台北市油化街 福来許茶楼 (2018年5月)

多種多様な台湾のお茶
台湾では、烏龍茶、包種茶、紅茶、フレーバーティーなどが作られています。薔薇、金木犀など数多くのフレーバーティーがあります。伝統的な茶館、おしゃれなカフェ、夜市の屋台のお茶のスイーツなどで、お茶を楽しむことができます。

いろいろなお茶の楽しみ方ができる台湾 (2018年5月)

おしゃれでかわいい茶器
台北市の油化街や永康街には、おしゃれでかわいい茶器がたくさんあります。お値段もお手頃なものから高価なものまでいろいろです。お茶が好きな人にとって、油化街と永康街は何時間歩いても飽きない場所です。

台北市永康街 茶器専門店
台湾宜龍EILONG (2018年5月)

お茶をテーマにした宿
阿里山など茶産地には観光茶園やお茶農家が経営するホテルがあります。ホテルに滞在中は、その茶園のお茶を飲み、茶畑を散策することができます。
嘉義市のブティクホテル嘉義桃城茶樣子はお茶をテーマにしたホテルです。ロビーには茶缶やお茶の本がセンスよく飾られており、各部屋のお風呂ではお茶風呂を体験できます。

嘉義市 ブティクホテル嘉義桃城茶樣子 (2018年5月)

坪林茶業博物館
新北市には坪林茶業博物館があり台湾のお茶の歴史などが展示物とデジタルコンテンツを組み合わせて紹介されており、学習しながら見学できるミュージアムです。地下1階では企画展が開催されます。筆者が坪林茶業博物館を訪問した時は世界各国のお茶のパッケージの企画展が開催されていました。
ミュージアムショップでは台湾のお茶をいただくことができます。
坪林茶業博物館の前にある橋の欄干には、それぞれ形の違うティーポットのオブジェが付いています。また、街中には茶摘みをする女性のオブジェも飾ってあります。

新北市 坪林茶業博物館 (2018年5月)

新北市坪林 お茶摘の女性のオブジェ(2018年5月)

お茶の実の油、お茶の葉を使った石鹸やリップクリームを製造し販売するお店もあり、買い物も楽しいです。

水柳角 お茶の油を使ったリップクリームと石鹸(2018年5月)

坪林茶業博物館への行き方:MRT松山線新店駅下車。新店駅から923または12番の坪林行きのバスに乗り坪林(坪林旅遊服務中心または新店客運坪林駅下車)で下車。坪林茶業博物館はバス停から徒歩約5分の場所にあります。坪林から新店駅行きのバスは頻繁に通ってないので、帰りのバスの時間を確認しておくことをおすすめします。

サイト内関連記事
世界のお茶の生産状況
2016年一人当たりのお茶の消費量
坪林茶業博物館
お茶の種類 文山包種茶(台湾)

参照:
行政院農業委員會 https://fae.coa.gov.tw/index.php
逗陣來識茶
https://fae.coa.gov.tw/theme_data.php?theme=kids_edu_topics&id=50
台北縣坪林郷公所編著(民國91年) 坪林茶業博物館 Taiwan Ping-Lin Tea Museum 現代視覺管理顧問股份有限公司
工藤佳治主編者(2007) 中国茶事典(初版) 勉誠出版
工藤佳治、兪向紅、丸山洋平(2017) 中国茶図鑑(第6刷) 文藝春秋
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
Helen Saberi (2010), Tea A Global History: Reaktion Books Ltd.
ヘレン・サバリ(著) 竹田円(訳) (2014) お茶の歴史 TEA: A Global HISTORY 原書房
Louise Cheadle and Nick Kilby of teapigs. (2015), THE BOOK OF tea, London: Jacqui Small LLP
ティーピッグズ、ルイーズ・チードル、ニック・キルビー(著) 伊藤はるみ(訳) (2017) 世界の茶文化図鑑 The Book of Tea 初版 原書房
Kevin Gascoyne, François Marchand, Jasmin Desharnais and Hugo Américi (2014), Tea: History, Terroirs, Varieties: THE CAMELLIA SINENSIS TEA HOUSE
「世界の歴史」編集委員編(2009)もういちど読む山川世界史 1版 山川出版
新北市坪林茶業博物館
http://www.tea.ntpc.gov.tw/
承億文旅 桃城茶樣子 https://www.hotelday.com.tw/hotel04.aspx
福来許茶楼 https://www.fleisch.com.tw

#台湾 #台湾茶 #文山包種茶 #坪林茶業博物館 #阿里山

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