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南アジア

バター茶
ヒマラヤ山脈のチベット高原地域ではバター茶が飲まれています。チベットのバター茶はモンゴルのスーテーツァイと同様に塩味のミルクティーです。

中国チベット自治区 チベット高原 (1989年)

鍋で湯を沸かし茶葉を入れます。茶葉は磚茶(たんちゃ)と呼ばれる中国茶を使います。磚茶は蒸した茶葉を型に入れて固めて干したものです。磚茶をナイフなどで削り必要な量の茶葉を用意します。茶葉と一緒にプントと呼ばれる天然ソーダを入れることもあります。

インドダージリン バター茶作り(2019年8月)

チベットは標高が高く平地に比べてすぐにお湯が沸騰するため、茶葉は長い時間煮出します。茶こしで茶葉を取り出したお茶とヤクのミルク、ミルクで作ったバター、塩をドンモと呼ばれる細長い木桶に入れます。ドンモ専用の攪拌棒を使い上下に動かし、お茶とバターをしっかり攪拌します。攪拌してできたバター茶はポットに入れて温め直します。カップに注いだら一杯目は神に捧げます。

インドダージリン ドンモを使ってバターとミルクとお茶を撹拌(2019年8月)

バター茶は中国のチベット自治区、ブータン、インドのラダック、ダラムサラやダージリン、ネパールなどでも飲むことができます。インドなどヤクが生息していない地域では、牛乳と牛乳のバターを使ったバター茶が使われます。
筆者(CHAMART)がインドのダージリンを訪問した際に、チベット系住民の女性2人にバター茶を作ってもらいました。この女性たちの両親は中国からインドに亡命しました。彼女たちはインドで生まれ、その後もインドで暮らしています。

東京ではチベット料理レストランタシデレで牛乳のバター茶をいただくことができます。

魔法瓶に入ったバター茶
筆者(CHAMART)は30年以上前の1989年に中国西蔵自治区を旅した時、初めてバター茶を飲みました。旅の途中で知り合ったチベット人家族が魔法瓶に入れた熱いバター茶を振る舞ってくれたのです。当時、筆者(CHAMART)はバター茶がどんな味かも知らず、甘いミルクティーを想像していました。一口飲んで、独特なヤクのミルクの臭いと塩味に戸惑いました。しかし、せっかくお茶を振る舞ってくれたのに途中で飲むのを止めることはできません。覚えたてのチベット語で「トゥジェチェ(ありがとう)」とお礼を言い飲み続けると、その内匂いは気にならなくなり飲み干していました。
標高4千メートル近いチベットでは肌が乾燥します。乾燥した肌にバター茶が染み渡り潤いが戻るようでした。

中国西蔵自治区ラサ (1989年)

本記事の現地のお茶事情は、筆者(CHAMART)がインドと中国西蔵自治区を訪問した時の取材に基づきます。

サイト内関連記事「世界のお茶の生産状況」「2016年一人当たりのお茶の消費量

参照:大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
荒木安正、松田昌夫著(2002) 紅茶の事典 初版 柴田書店

#チベット #バター茶 #チベット高原 #西蔵 #西蔵自治区 #ドンモ #チベット

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