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九州・沖縄エリア 佐賀県

産地:嬉野町、武雄市、唐津市、吉野ヶ里町、有田町、伊万里市、基山町、鹿島市
銘柄:うれしの茶(嬉野茶)、からつ茶
お茶の種類:玉緑茶(蒸し製と釜炒り製)、煎茶、茎茶、玄米茶、ほうじ茶、かぶせ茶、紅茶など

日本の茶祖・栄西禅師の茶園
臨済宗の開祖・栄西禅師(1141-1215)は、2度宋(中国)へ渡り禅を学びました。1191年、栄西は長崎県平戸に帰国した際に、茶の実を持ち帰りました。栄西は帰国後の3年間、九州北部を中心に禅の普及に努めたと言われています。
栄西は、脊振山の霊仙寺石上坊に、宋から持ち帰った茶の実を植えたと伝えられています。脊振山は佐賀県と福岡県の境にあります。平戸には、栄西が茶の実を植えたと伝わる冨春園があります。
栄西がお茶の実を持ち帰る以前の7から8世紀には、すでに日本にお茶は中国から伝わっていました。しかし、栄西により全国各地でお茶の栽培が広がり、また栄西は宋の抹茶法を日本に伝え、喫茶の習慣を広めたことから、日本の茶祖と呼ばれています。1211年に栄西は、日本最初の著書とされる『喫茶養生記』を著しました。喫茶養生記には、お茶の効能、栽培方法、飲み方などが書かれています。

霊仙寺跡地(2018年8月)

脊振山霊仙寺跡地の茶園(2018年8月)

うれしの茶
嬉野市を中心に佐賀県の多くの地域でお茶が栽培されています。嬉野市のうれしの茶、唐津市のからつ茶、七山茶、厳木(きゅうら)茶などです。以前は釜炒り茶が多く作られていましたが、現在は蒸し製玉緑茶が多く生産されています。

釜炒り茶と蒸し製玉緑茶
釜炒り茶は、釜を使い約400度の直火で炒って作るため、香ばしくさっぱりとした味わいです。
蒸し製玉緑茶は一般の煎茶のように仕上げ工程で精揉機を使って茶葉を針状に仕上げていないため、茶葉が捻じれ丸みを帯びた形状です。捻じれた茶葉が急須のお湯の中でゆっくり開いていくので2煎目、3煎目も美味しく、甘みのある深い味わいが特徴です。

茶心の宿和楽園 蒸し製玉緑茶で焼酎割り(2018年8月)

釜炒り茶発祥の地、嬉野町
1440年に、陶工が嬉野市嬉野町不動山地区に移り住み、山茶を摘みお茶を作って飲んでいたと伝えられています。その後、1504年に明(中国)から陶工・紅令民が、不動山地区に移り住み、南京釜(唐釜)による中国式の釜炒り茶の製法を伝えたと言われています。1640年頃に吉村新兵衛が嬉野で茶の栽培と製茶を行い、嬉野で茶業を広めました。

嬉野市(2018年8月)
写真左:うれしの茶の碑文 写真右:吉村新兵衛翁頌徳碑

嬉野の大チャノキ(大茶樹)
嬉野町不動山地区には、嬉野の茶祖・吉村新兵衛翁頌徳碑と嬉野の大チャノキ(大茶樹)があります。このお茶の木は、樹齢推定360年以上と言われ、高さが約4メートル、直径は約12メートルあります。1926年に国の天然記念物に指定されました。

嬉野大茶樹(2018年8月)

うれしの茶交流館「チャオシル」
うれしの茶交流館「チャオシル」では、日本茶とうれしの茶の歴史が学べ、美味しい「お茶の淹れ方教室」やうれしの温泉の源泉を使った「茶染め体験」、「釜炒り茶体験」(有料・要予約)、工場見学などもできます。

うれしの茶交流館「チャオシル」(2018年8月)

館内の喫茶コーナーでは、うれしの茶やうれしの茶を使ったチャオシル限定のオリジナル緑茶アイスやスイーツがいただけます。売店ではうれしの茶などが購入できます。

館内の喫茶コーナー
写真提供:うれしの茶交流館「チャオシル」

うれしの茶を楽しめる宿
嬉野市にある茶心の宿和楽園にはうれしの茶を使った料理にお茶風呂と、うれしの茶を楽しめるお宿です。
2021年には、お茶のお酒がいただける「茶屋二郎 the BAR」がオープンしました。

茶心の宿和楽園(2018年8月)
写真左:朝食 うれしの茶を使ったお茶の葉海苔
写真右:うれしの茶を使った夕食

茶心の宿和楽園 うれしの茶風呂「緑泉」(2018年8月)

*霊仙寺跡地は、佐賀県側からと福岡県側から行くことができますが、行くまでの山道が土砂崩れなどで通行止めになっていることがあります。事前に、吉野ヶ里町役場などで情報を得てからに行かれることを強くお勧めします。

サイト内関連記事「日本のお茶の生産状況」「お茶の種類 蒸し製玉緑茶」「博物館・公園 うれしの茶交流館「チャオシ

お茶関連施設: 
うれしの茶交流館「チャオシル」
http://www.city.ureshino.lg.jp/kanko/ureshinocha/_23805.html
佐賀県の観光情報ポータルサイトあそぼーさが
http://www.asobo-saga.jp/
霊仙寺跡(吉野ヶ里町)
https://www.asobo-saga.jp/search/detail.html?id=138
大茶樹(嬉野市)
https://www.asobo-saga.jp/search/detail.html?id=197
茶心の宿和楽園 https://www.warakuen.co.jp
白石町 吉村新兵衛(よしむらしんべえ)
https://www.town.shiroishi.lg.jp/jyuumin/manabu/yukari/_1156.html

お茶のゆるキャラ:
嬉野温泉非公認キャラクター「お茶っティー」
2019年に誕生。嬉野温泉にひっそりと住む お肌つるつる、やわらかい。ひかえめなお茶の妖精

画像提供 お茶っティー https://ochattea.jp/

焼き物:有田焼、伊万里焼、唐津焼、肥前吉田焼、鍋島焼

参照:
松下智 (平成3年) 日本名茶紀行 (初版) 雄山閣出版
高野實・谷本陽蔵・富田勲・中川致之・岩浅潔・寺本益英・山田新市 (2005) 緑茶の事典 (改訂3版) 柴田書店
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
佐賀県 佐賀県の茶産地
http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00322764/index.html
嬉野温泉非公認キャラクター お茶っティー
https://ochattea.jp/

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*当サイトのコンテンツは、「日本のお茶」と「世界のお茶」の全てについて記載しているわけではありません。また、各記事は、執筆者の個人的な経験や感じたことなどが表現されています。

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