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茶産地:朝日町
お茶の銘柄:バタバタ茶
お茶の種類:黒茶(後発酵茶)
仏様へ供えるバタバタ茶
朝日町蛭谷(びるだに)集落では、昔からバタバタ茶という後発酵茶(黒茶)が飲まれています。
バタバタ茶の起源は古く、中国から黒茶が伝来したという言い伝えがあります。室町時代に「真宗本願寺第八世蓮如上人が文明4年(1472年)新川郡清水に堂宇を構え説法す」という記録があり、説法に伴いこの黒茶を仏様に供える供茶(くちゃ)として使ったと考えられています。
地域の人々をつなぐバタバタ茶
毎月28日の蓮如上人の命日、講(経典の講義をする会)、法事、月命日、結婚、出産などでご近所の人たちを招き、囲炉裏端でバタバタ茶会を開くことが朝日町蛭谷集落のならわしでした。
バタバタ茶の葉を木綿の袋に入れ大鍋で煮出し、1杯目は仏様にお供えします。五郎丸茶碗と呼ばれる小ぶりの茶碗に煮出したお茶を入れ、二本一組になった細長い茶筅を左右にカタカタと鳴らしながらお茶を泡立てます。好みで塩をひとつまみ入れます。手作りの煮物や漬物お茶請けに、ゆっくりと何杯もバタバタ茶を飲みながらおしゃべりをします。
バタバタ茶伝承館
朝日町蛭谷地区にはバタバタ茶伝承館があります。バタバタ茶伝承館には地域の人たちが集い、皆さんが持ち寄った手作りのお惣菜と一緒にバタバタ茶をいただくことができます。
バタバタ茶はプーアル茶に似た味で、シナモンや薄荷の風味がしました(筆者(CHAMART)の個人的な感想です)。
継承されるバタバタ茶作り
後継者不足と高齢化によりバタバタ茶の生産者が減ったことから、現在は朝日町商工会と地域の人たちがお茶を栽培し、バタバタ茶伝承館でバタバタ茶を作っています。毎年、年に1回、7月から8月の暑い時期にお茶を刈りバタバタ茶を作ります。
*天候の関係により2019年のみ7月と9月にバタバタ茶作りが行われました。
福井県若狭町、新潟県の糸魚川地域でも専用の茶筅で泡立ててるバタバタ茶が飲まれていますが、糸魚川地域のバタバタ茶は後発酵茶ではなく番茶を使います。
【バタバタ茶ができるまで】
1. 茶葉を刈る(7月下旬から8月上旬)
2. 茶葉を切る (刈り取った茶葉から太い枝を取り除き、茶葉を切断機で細かくする)
3. 茶葉を蒸す
4. 蒸した茶葉を揉む
5. 茶葉を室(むろ)に入れ、むしろで蓋をする
6. 茶葉の発酵 (室の中の茶葉の温度を65度以上にならないように、2〜3日に一度茶葉の切り返しを行い約40日かけて好気発酵させる。茶葉の切り返しは合計10回程度行う。)
7. 陰干しと天日干し (9月上旬に室から茶葉を出し半日ほど陰干しをし、2〜3日天日乾燥させる)
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サイト内関連記事「日本のお茶の生産状況」「お茶の種類 バタバタ茶」
お茶関連施設:
バタバタ茶伝承館 https://www.asahi-tabi.com/asahimachi/262/
なないろKAN https://www.asahimachi.com/nanairo/
朝日町歴史公園 https://www.asahi-tabi.com/asahimachi/249/
焼き物:越中瀬戸焼
参照:
バタバタ茶伝承館のバタバタ茶の説明パネル
松下智 (平成3年) 日本名茶紀行 (初版) 雄山閣出版
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
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