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本記事は、お茶の研究家の松下智氏が2010年にラオスへお茶の調査に行かれた時のお話を聞き、CHAMARTが執筆しました。本記事のラオスの写真は調査団の一員浅野勝彦氏よりご提供いただきました。
茶産地:ポンサーリー (Phongsaly)、ウドムサイ (Oudomsay)、ルアンパバーン (Luang Prabang)、フアパン (Huaphan)、シエンクワーン (Xieng Khouang)、チャムパーサック (Champasack) 注1
お茶の種類:緑茶(主に釜炒り茶)、白茶、烏龍茶、紅茶など
ラオスのお茶の歴史
ラオスでは、14世紀後半から18世紀初めのラーンサーン王朝時代にお茶が交易品とされていたと言われています。ラオスは50の民族からなる多民族国家です。北部は中国雲南省と接しており、タイ族、ヤオ属など多くの少数民族が居住しています。いくつかの少数民族は、野生のお茶の木を食べたり儀式に使っていました。
本格的なお茶の栽培と生産は、19世紀末からのフランスによる植民地支配下で始められました。
ラオスには樹齢400年以上の古茶樹が数多く存在しています。
現在、ラオスでは緑茶、白茶、烏龍茶、紅茶などを作っています。
竹筒茶
ラオス北部では竹にお茶を詰めた竹筒茶が作られています。竹筒茶は2種類あり、お茶の生葉を蒸して竹に硬く詰め乾燥させたもの(写真上)と長期間発酵させたタイのミアンに似た茶葉の漬物のような竹筒酸茶があります。
野生の大茶樹
ラオス北東部シエンクワーン県や北部ポンサーリー県などには野生の大茶樹が存在しています。お茶の研究者松下智氏を団長とする調査団がお茶の原産地の調査のために、2010年にポンサーリー県を訪問し、推定樹齢300年の野生のお茶の木が見つかりました。このお茶の木の高さは約12メートル、根元の幹周りは94センチ、お茶の葉の長さは約15センチありました。
ラオス最北端の村から地元の人たちが歩いて約1時間半の場所に野生の大茶樹の林があります。訪問当時80歳だった松下氏は他の調査メンバーや地元の人たちと一緒に約5時間かけて歩いて行きました。
本サイトの記事執筆にあたり、松下氏と浅野氏からお話を伺いました。
お茶研究家 松下智
60年以上、国内外の茶産地を訪ね、お茶の歴史・喫茶文化など研究を続ける。愛知大学で教授を務め、退官後もお茶の原産地の研究を続け2010年には調査のためラオスを訪問。「日本名茶紀行」(雄山閣出版)、「茶の民族誌」(雄山閣出版)、「茶の原産地紀行」(淡交社)、「アッサム紅茶文化史」 (生活文化史選書)など、松下氏のお茶に関する著書は多数あり。
現在、松下氏は袋井市茶文化資料館の名誉館長として土曜日に来館されています(来館されない日もあります)。袋井市茶文化資料館には松下氏がこれまでのお茶の調査・研究で収集した国内外の茶器、お茶、書籍、写真など約2千点が展示されています。
松下氏の来館日は静岡県袋井市茶文化資料館のサイトまたはFacebookでご確認下さい。
静岡県袋井市茶文化資料館 https://fukuroi-tyabunkashiryokan.jp
https://www.facebook.com/松下コレクションを活かす会袋井市茶文化資料館-375990012866009/
サイト内関連記事「世界のお茶の生産状況」「2016年一人当たりのお茶の消費量」「博物館 & 公園 袋井市茶文化資料館」
注1:
UNDP Lao PDR
United Nations Development Programme
https://www.la.undp.org/content/lao_pdr/en/home.html
Phou San Wild Tea, Xieng Khouang Province LAO PDR, From Early Days to Current Production and Market Development, Agro-biodiversity Project, September 2016
参照:
Lao PDR
https://www.la.undp.org/content/lao_pdr/en/home.html
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編 (2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
松下智 (平成10) 茶の民族誌 雄山閣出版
日本国外務省 ラオス人民民主共和国
https://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/laos/index.html
#ラオス #ラオス茶 #竹筒茶
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