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お茶の歴史
中国のお茶の歴史3「7〜9世紀」
唐代(618-907)
唐代になるとお茶の生産が盛んになり、喫茶の風習が全国へ広がりました。茶に税金がかけらるようになり、また茶事や茶道なども始まりました。
世界初のお茶の総合書「茶経」
760年頃に文人・陸羽(りくう Lu Yu)(733? – 804)により、世界初のお茶の総合書「茶経」が著されました。
茶経は上中下の全三巻あり、一之源(茶の起源)、二之具(製茶の道具)、三之造(茶の製造)、四之器(茶器)、五之煮(茶の煮たて方)、六之飲(茶の飲み方)、七之事(茶の歴史)、八之出(茶の産地)、九之略(略の茶)、十之図(茶の図)から構成されています。
三之造では餅茶(固形茶)の作り方、六之飲には、粗茶(粗大な葉茶)、散茶(普通の茶葉)、末茶(粉末の茶)、餅茶について書かれています。
当時は、餅茶を砕いて粉末にして飲むのが主流だったと考えられています。
「煎茶水記」「十六湯品」
814年に張又新(ちょうゆうしん Zhang Youxin)が、お茶に用いる各地の水について「煎茶水記」を著しました。883?年には、蘇廙(そい Su Yi)が、お湯の沸かし方など、お茶とお湯の関係について「十六湯品」を著しました。
茶馬交易
8世紀後半になると、中国西南地域で作られるお茶と、新疆ウィグル地域の馬と交易が始まりました。この交易路は「茶馬古道」と呼ばれました。茶馬古道は険しい道のりで、また厳しい天候、盗賊の襲来など茶馬交易は危険が伴いました。茶馬交易では、キャラバンを組み、運びやすいように固めたお茶を人と馬が何日もかけて運びました。
茶馬交易は発展し20世紀半ばまで続き、交易路は、北は北京、南はチベット、ミャンマー、インド、ネパールヘと広がりました。
皇帝貢献茶
唐代になり、本格的に皇帝と皇室へ貢品としてお茶が献上されるようになりました。このお茶は貢茶と呼ばれ、皇帝は貢茶の数量や種類などさまざまな要求をしました。その結果、農民は貢茶を作っても利益にはならず、大きな負担になりました。
お茶の税金
782年にお茶に税率10%の従価税が課されました。784年に茶税は一旦廃止されましたが、793年に茶税が復活し821年には茶税は15%に引き上げられました。
835年には、宰相・王涯(おうがい Wang Ya)により、榷茶(かくちゃ Quecha)(お茶の専売)制度が進言されましたが、実施は見送られました。
お茶と文芸
唐代は平和が続き、文芸が盛んになり、多くの詩人や文豪が現れました。
白居易(はくきょい Bai Juyi)(772-846)などが茶詩を残しています。茶詩とはお茶を詠んだ詩です。
石川忠久著「茶をうたう詩―『詠茶詩録』詳解」は、訳文と解説と伴に唐代から明代までの茶詩を詳しく紹介しています。
遣唐使が日本へ持ち帰った茶の実
僧侶・最澄(766もしくは767-822・後の伝教大師)と空海(774-835 後の弘法大師)は遣唐使として唐に渡り、帰国時に茶の実を持ち帰りました。
注:お茶は植物としては「チャの木」または「チャ」とカタカナで表記されます。「チャ」はツバキ科の常緑樹で学名はCamellia sinensis (L.) O.Kuntzeです。
本サイトではカタカナは使わず「お茶の木」「お茶」と表記しています。
*文中の中国の文献、人物の()内のカタカナとひらがなは日本語読みで、アルファベットは中国語の発音pinyin(ピンイン)です。
参考文献:
松崎芳郎著(1985) 年表 茶の世界史 (初版)八坂書房
工藤佳治主編者(2007) 中国茶事典(初版) 勉誠出版
日本中国茶普及協会(2015) よくわかる中国茶の本(第3版) 日本中国茶普及協会
大森正司、阿南豊正、伊勢村護、加藤みゆき、滝口明子、中村羊一郎編(2017) 茶の事典 初版第一刷 朝倉書店
社団法人農山漁村文化協会編集(2008) 茶大百科 I歴史・文化/品質・機能性/品種/製茶(第1刷) 社団法人農山漁村文化協会
布目潮渢、中村喬 著(昭和51) 中国の茶書(初版) 平凡社
「世界の歴史」編集委員会編(2009) もういちど読む山川世界史(第1版) 山川出版社
ヘレン・サベリ著 竹田円訳(2014) お茶の歴史(第1刷) 原書房
高野實、谷本陽蔵、富田勲、中川致之、岩浅潔、寺元益英、山田新市 執筆 (社)日本茶業中央会監修 (2005) 緑茶の事典 (改定3版) 柴田書店
高橋忠彦(平成25) 茶経・喫茶養生記・茶録・茶具図賛―現代語でさらりと読む茶の古典(初版) 淡交社
石川忠久著(2011) 茶をうたう詩―『詠茶詩録』詳解(第一版) 研文出版
竹田武史(2019) 茶馬古道の旅 中国のティーロードを訪ねて 淡交社
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