MENU

東海エリア 静岡県

茶産地:静岡市、藤枝市、川根本町、富士宮市、富士市、沼津市、御殿場市、裾野市、三島市、伊豆の国市、伊東市、下田市
銘柄:静岡茶、両河内茶、本山茶、安倍茶、玉川茶、足久保茶、美和茶、有東木茶、朝比奈玉露、川根茶、富士宮茶、富士茶、沼津茶、裾野茶など
お茶の種類:煎茶(主に普通蒸し、深蒸し)、ほうじ茶、玄米茶、碾茶、抹茶、かぶせ茶、玉露、番茶、粉末茶、粉茶、紅茶、烏龍茶、白茶、フレーバーティーなど

静岡茶の始まり
臨済宗の僧侶聖一国師が中国の宋から持ち帰ったお茶の実を、1244年に静岡市の足久保に植えたことが、静岡のお茶の始まりだと言われています。

お茶栽培に適した気候
静岡県は温暖な気候で河川が多く霧が発生し、お茶の栽培に適しており、静岡県のほぼ全域でお茶を栽培しています。
静岡市内では藁科川流域、安倍川流域、興津川流域、そして日本平でお茶が作られています。
藁科川と安倍川流域の山間部で作られるお茶は、本山茶と呼ばれています。山と河川が多く霧が発生しやすく、お茶作りに適した土地です。本山茶は徳川家康公が愛したお茶で、将軍家御用茶として使われていました。
興津川上流の両河内のお茶「高嶺の香(たかねのはな)」は、毎年新茶の時期に静岡茶市場で最高値がつきます。

静岡市清水区興津川流域の茶畑 寺社畑園(2021年4月)

日本の紅茶の父・多田元吉
明治維新後、元幕臣の多田元吉(1829〜1896)は静岡市丸子地区に移り住み、お茶の栽培を始めました。
紅茶の生産を急ぐ明治政府の命により、元吉は1875年に清(中国)、1876年にインドとスリランカへ派遣され市場や紅茶の製造技術の調査を行いました。元吉は帰国後、全国各地を訪れインド式の紅茶の製造方法を広めました。また、お茶の木の品種改良や製茶器具の考案するなど、日本の茶業に貢献しました。丸子地区には元吉の石碑があります。

多田元吉翁碑(2017年9月)

優良品種「やぶきた」の生みの親・杉山彦三郎
やぶきたは、日本全国どこでも栽培しやすく病気に強い優良品種です。現在、日本の全茶園の約7割がにおいて、やぶきたが栽培されています。
駿河国有度村(現静岡市清水区)出身の杉山彦三郎(1857-1941)は、農業に従事しお茶を栽培するようになりました。そして彦三郎はお茶の木の品種改良の必要性を痛感し、各地の茶園を訪問し良いお茶の木を探し続けました。やぶきたは、彦三郎が在来種の実生茶園(挿し木苗ではなく種から育てた茶園)から選抜し育成し、その後さまざまな検査を経て、1953年にやぶきたと命名されました。
彦三郎は品種改良に尽力し、やぶきただけでなく数多くの優良な品種を育成しました。

日本三大玉露、藤枝市の朝比奈玉露
藤枝市の朝比奈玉露は、京都府宇治、福岡県八女に並ぶ日本三大玉露の一つです。
玉露は、新芽の摘み取り前の約3週間、寒冷紗と呼ばれる黒色の被覆材や稲わらで編んだこもで茶園全体を覆います。茶園を寒冷紗やこもで覆い日光を遮断することで、茶葉の苦味成分であるカテキン類の増加が抑えられ、うま味成分のアミノ酸が多くなります。玉露は手摘みしたやわらかい新葉のみを使い製茶します。
現在、玉露農家は寒冷紗を使う玉露農家が増えています。藤枝市では、数軒の玉露農家がお米を作り脱穀した後の稲わらで編んだこもを使い玉露を作っています。こもは数年使った後、畑に敷かれ堆肥になります。伝統的なこもを使う玉露栽培は循環型農業です。

藤枝市 宮崎園 こもで覆った玉露の茶園の茶摘み(2021年5月)

玉露の里
朝比奈地区の玉露の里では、玉露を使ったランチやスイーツをいただくことができます。玉露を使ったコロッケやソフトクリームも販売しています。
橋を渡った先にある茶室では、庭園を見ながら玉露と和菓子をいただくことができます。
サイト内関連記事「玉露の里

朝比奈玉露コロッケ(2023年11月)と玉露ソフトクリーム(2020年5月)

藤枝の大茶樹
藤枝市には樹齢推定300年を超える大茶樹があります。木の高さは4メートル、木の周囲は33メートルです。毎年5月に常設された足場に乗って新茶の手摘みで行っています。

藤枝大茶樹(2019年4月)

川根茶
南アルプスを源流とする大井川上流域の山間地にある川根本町のお茶は、うま味の強い高級煎茶として有名です。
道の駅フォーレなかかわね茶茗舘の茶室では川根茶と和菓子をいただくことができます。
毎年11月に川根茶を心ゆくまで味わえるイベント「川根時間」が開催されています。このイベントでは各農家の川根茶の飲み比べや手揉み茶体験などが実施されますが、2020年度はコロナウィルス感染拡大の影響によりオンラインで行われました。
サイト内関連記事「フォーレなかかわね茶銘舘

2019年11月開催された川根時間

静岡県東部
富士山西南裾野地帯、愛鷹山南麓、伊豆半島などでお茶が作られています。普通蒸し、深蒸し煎茶、紅茶などさまざまなお茶を作っており、少量ながら玉緑茶も作られています。

おおぶちお茶まつり
防霜ファンなど人工物がなく、富士山と茶畑が見える大淵笹場では、毎年5月の新茶の季節におおぶちお茶まつりが開催されます。お茶まつりでは、「富士山&茶娘撮影会」写真コンテストが開催され、多くのアマチュアカメラマンが参加しています。撮影会では、地元の中・高校生たちが茶娘の衣装を着て茶摘みをします。
会場では、お茶やお茶の葉の天ぷらが振る舞われます。地元のお茶を購入することもできます。
コロナウィルス感染拡大防止のため、令和3年度の「おおぶちお茶まつり」と「富士山&茶娘撮影会」の写真コンテストの中止しました。

2019年5月おおぶちお茶まつり

お茶ツーリズム
茶に関する施設やイベント
静岡市中部に位置する静岡市、藤枝市、川根本町にはお茶に関する石碑、建物、博物館などがたくさんあります。また、静岡市の「駿府本山お茶壺道中行列・口切りの儀」などお茶に関するさまざまなイベントも開催されています。

第37回駿府本山お茶壺道中行列・口切りの儀(2019年11月)

お茶をテーマにしたツアー
静岡市の旅行会社「そふと研究室」は、お茶ツーリズムのパイオニア的存在です。これまで、静岡茶市場見学、工場見学、お茶摘みなどお茶に関するさまざまなツアーを実施してきました。コロナ感染拡大により、ツアーの形を変え「Zoomでしずおかオンラインツアー」を実施しています。「品種茶5種飲み比べ」「あなたの知らないほうじ茶の世界!」など、お茶好きにはとても嬉しい、お茶の奥深い世界が楽しめるオンラインツアーを実施しています。

そふと研究室ツアー(2019年4月)
静岡茶発祥の地 足久保でお茶摘み手伝い(てんだい)

お茶農家民宿
静岡市清水区のお茶農家民宿「ぬくもり園」では、茶摘み体験や茶道体験を体験できます。

静岡市 お茶農家民宿「ぬくもり園」(2018年3月)

絶景のティーテラスとお茶を楽しむ「茶の間」
静岡県内6ヶ所の茶畑のティーテラスで絶景とお茶を楽しむことができます。「天空の茶の間」「黄金の茶の間」「全景の茶の間」「大地の茶の間」「富士の茶の間」「里山の茶の間」があり、茶の間を貸し切った茶畑でのウェディングフォト撮影やセレモニーが行えるプランもあります。いずれもサイト「茶の間chanoma」から予約が必要です。
茶の間 chanoma https://changetea.jp
サイト内関連記事「お茶の種類 黄金みどり

静岡市 黄金の茶の間「黄金みどり茶園」(2021年4月)

フェルケール博物館 蘭字ラベルの展示
静岡市のフェルケール博物館には、茶箱の蘭字ラベルが常設されています。常設展示はレプリカが多いですが、企画展でオリジナルの蘭字が展示されることがあります。茶箱は明治から昭和初期にお茶の輸出に使われており、茶箱に貼られた蘭字ラベルはデザイン性に優れたものばかりです。
サイト内関連記事「船と港の博物館 フェルケール博物館

フェルケール博物館 展示物の茶箱(2018年3月)

お茶染め
静岡市のお茶染めWashizuは、静岡の伝統工芸「駿河和染」の型染めを行う工房です。
お茶染めWashizuでは、製茶工場で荒茶を作った後に機械の上などに溜まる製品にならない茶埃を染料に使いお茶染めをしています。
独自のデザインのスカーフやTシャツ、トートバッグ、マスクなどお茶染めの製品を作っています。
CHAMARTが2018年に日本の検査機関でお茶染めWashizuのお茶染めの布の抗菌性試験(黄色ブドウ球菌)を実施してもらったところ、繊維上の細菌の増殖を抑制し防臭効果を示しました。注1
サイト内関連記事「お茶染めの着物 お茶染めのスーツ

お茶染めWashizuのお茶染め製品

CHAMARTがプロデュースしたお茶染めのスーツと着物

*コロナウィルス感染状況等によりイベントは中止になる可能性もあります。イベント情報は主催者にご確認ください。

サイト内関連記事「日本のお茶の生産状況」「日本のお茶 静岡県西部と牧之原台地」「玉露の里」「フェルケール

お茶関連施設・イベント:
フェルケール博物館 https://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/verkehr/
静岡茶発祥の碑 https://www.ochanomachi-shizuokashi.jp/recommend/5000/
聖一国師生誕碑 https://www.ochanomachi-shizuokashi.jp/recommend/5001/
多田元吉翁碑 https://www.ochanomachi-shizuokashi.jp/recommend/5002/
旧マッケンジー住宅 https://www.ochanomachi-shizuokashi.jp/information/10001/
寺社畑園 https://www.jisyabatake.jp
お茶農家民宿ぬくもり園ゆるり https://nukumorien.i-ra.jp
玉露の里 http://shizutetsu-retailing.com/gyokuronosato/
藤枝の大茶樹 https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/sangyo/cha/1461668631652.html
道の駅フォーレなかかわね茶茗舘 https://chameikan.jp
そふと研究室 https://soft-labo.net
茶の間 https://changetea.jp
大沢• 縁側カフェhttp://tsunagari-osawa.com
富士市 大淵笹場(富士山と茶畑の絶景スポット)について
https://www.city.fuji.shizuoka.jp/machi/c0504/rn2ola000000dvpa.html
お茶染め Washizu https://www.ochazome-shizuoka-japan.com

お茶のゆるキャラ:
ちゃっぴー(静岡県)
おちゃっぴー(川根本町)
茶~宮ん(ちゃーみん)(JA富士宮)

ふじのくに茶の都ミュージアムに来ていたちゃっぴー(2018年3月)

注1:一般社団法人ニッセンケン品質評価センターで抗菌性試験(試験方法:JIS L1902:2015 菌液吸収法(定量試験)、測定方法:混釈平板培養方法、試験禁:黄色ぶどう球菌、試験試料の処理:オートクレーブ滅菌を実施)。この試験結果は、試験対象となった布の抗菌性を示すものであり、全てのお茶染めの抗菌性を示すものではありません。
参照:
松下智 (平成3年) 日本名茶紀行 (初版) 雄山閣出版
社団法人農山漁村文化協会編集(2008年) 茶大百科 I歴史・文化/品質・機能性/品種/製茶 (第1刷) 社団法人農山漁村文化協会
公益社団法人静岡県茶業会議所 (2019年) 新版茶の品種 公益社団法人静岡県茶業会議所
高野實、谷本陽蔵、富田勲、中川致之、岩浅潔、寺元益英、山田新市 執筆 (社)日本茶業中央会監修 (2005) 緑茶の事典 改定3版 柴田書店
藤枝市 https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/index.html
藤枝の大茶樹
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/sangyoshinko/ochanomachi/gyomu/1445921287740.html

*本記事でご紹介した情報が、変わっている場合があります。本記事に関して間違った情報、新しい情報、追加すべき情報などお気付きの点がありましたら、CHAMARTまでご連絡いただけると幸いです。
*当サイトのコンテンツは、「日本のお茶」と「世界のお茶」の全てについて記載しているわけではありません。また、各記事は、執筆者の個人的な経験や感じたことなどが表現されています。