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お茶の効用

茶の機能性成分

茶の機能性成分

本記事の執筆・資料提供:
静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター センター長 特任教授
中村順行

チャは学名をCamellia sinensisといい、灌木(かんぼく)で葉が小さい中国種と、喬木(きょうぼく)で葉が大きいアッサム種に分類されます。
両者の形態は大きく異なりますが、いずれの種類にも、他の植物には稀なカフェイン、ガレート型カテキン、テアニンが含まれています。これらの機能性成分の含量は、チャの種類はもとより栽培条件、発酵の有無などにより大きく影響されます。
特に、カテキン類はアッサム種で多く、中国種では少なく、カロチノイドは中国種で、フッ素はアッサム種で多い傾向にあります。一方、カフェイン、アミノ酸を始めとする多くの成分は、チャの種類よりもむしろ摘採時期や栽培管理方法の違いが成分量に大きく影響します。

写真左:アッサム種 写真右:中国種

ちなみに、茶芽が柔らかいほどアミノ酸類やカテキン、カフェイン、可溶分、ビタミンU、カリウム、マグネシュウム、銅、亜鉛、ヨウ素の含量は多くなります。逆に、茶芽が硬化するほど、糖分、セルロース、フラボノール、ビタミンA(カロテン)、ビタミンP、カルシューム、フッ素は増加します。また、遮光処理することでアミノ酸類やカフェインは増加し、カテキン類は減少します。
一般的に、緑茶の成分の多くは製造中に大きな変化は見られません。一方、ウーロン茶や紅茶では、萎凋や発酵中に酸化酵素が働き、カテキンはテアフラビンやテアルビジンに変化したり、ビタミンCは発酵が進むに従い減少するなど、様々な成分組成を持ったお茶となります。
また、プアール茶では、微生物の働きと自動酸化によりカテキンは酸化重合物に変化したり、アミノ酸は分解して著しく減少してしまいます。

茶の化学成分組成や量の違いは茶の品質のみならず効能にも大きな影響を与えるため、各々の成分とその機能性を明らかにすることが重要となります。

資料提供:中村順行

写真左:日本 手揉み茶(蒸し製緑茶)
写真右:中国 西湖龍井茶(釜炒り製緑茶)


中村順行(なかむらよりゆき)

静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センターセンター長 特任教授
https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/labs/tsc/index.html
受賞・表彰歴など
2016 日本茶業功績者表彰 茶の品種普及とポット育苗技術に対して
2015 O-CHA パイオニア賞 学術研究大賞 茶育種技術と品種開発について
2013 茶業技術功労賞  茶業技術の進展に対して
2013 杉山彦三郎技術賞  茶の品種育成に対して
2013 茶学術研究顕彰表彰  茶の品種改良とその増殖技術に対して
2006 博士号 学位取得  岐阜大学
チャの組織培養による大量増殖法とポット育苗技術に関する研究
2006 静岡県知事表彰  茶の新改植促進に貢献する育苗法の実用化
1991 茶業技術賞 第27号 日本茶業技術協会
チャの組織培養に関する研究について
1986 静岡県農林水産部長表彰
新品種おくひかりの育成について

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